スクーターの駆動系トラブルでの入庫の車両ですが…
ベルトが切れたとの事で入庫だったのですが組み付け不良が原因で高額な修理となってしまう事例でした。

駆動系を分解したところです。
ドライブシャフトのスプラインが削れてしまっている上にねじ山も潰れてしまっています。
プーリーボスまたはクランクシャフトが熱で変形してしまっているようで、プーリーボスは抜く事が出来ません。

プーリー表面には溶けたベルトがこびり付いています。

ドライブフェイスのスプラインも完全になくなって穴付近がアルミはボロボロになっています。

ウェイトローラーは熱で樹脂が溶けてしまい中身が飛び出しています。
ウェイトローラーが溶けるほどの発熱です。
ベルトもあっという間に溶けた事でしょう。

ドライブシャフトのスプラインとネジ山がダメなのでクランクシャフト交換が必要となります。
その他、プーリーや削れてしまったキックギヤ等全て交換が必要となりますので10万円近い費用がとなってしまいます。

故障の原因はドライブプーリーの締め付け不良の可能性が非常に高いです。
この車両は譲り受けたばかりとの事ですが前オーナーから自分で駆動系をカスタムしたと聞いていたとの事です。

カスタムされていたのはウェイトローラーのみのようですが、ウェイトローラーの交換時にドライブプーリーの締め付け不足があったのでしょう。

バイクの整備やカスタムをご自分でやられる方も多いと思います。
自分でやるなとは言いません。
ちゃんとした道具を使って作業しましょう!

オーナー様自信で作業したプーリー周りの緩みのトラブルは少なくありません。
どのように作業を行ったかを聞いてみると皆さん、手で抑えながら締めた、手元にあった工具を差し込んで回り止めにした等々…正しい工具を使っていない場合がほとんどです。
固定用の専用工具を使いながら作業を行えばしっかりと固定できます。

プーリー抑えの工具はいろいろありますが…
汎用工具は様々な車種に使える反面、どの車種にも使い難い事が多いです。
ご自身の車両を整備するのでしたら汎用工具ではなく車種専用品を用意するようにしましょう!